7/18(水)の心に残った一節
第六章 破局
ヒマラヤに行ったら、そこに住む人と同じものを食う。同じ言葉で話す、そのやり方でずっと通してきた。旅行者の気分は最初からない。遠いところから、この国の山を登らせてもらいにやってきた。ならば、その国の生活に敬意を表する、同じようにやるのは当然。第一、そうでなければなんでヒマラヤにくる必要があるのか。ごく自然にそう考え、ふるまってきたのだ。
山だけのためにヒマラヤにくるのではない。山の麓には人々が住んでいる、そこから出てそこに生きて帰ってくる。もう一度、親しげにほほえみ合い、話し合う。それこそが、このヒマラヤ主義者にとって無上の喜びだったのだ。